エアコン取付時のフレア加工について
フレア加工とはエアコン取り付けにおいて、室外機と室内機を接続する冷媒管を接続する際、冷媒管の接続部分に行う加工のことで、新しくエアコンを設置する際には必須の作業です。
このフレア加工が適切に行われないと、ガス漏れなどエアコンの動作不良や故障の原因になります。
ここではフレア加工とはどういうものか、行う必要性と適切な手順、適切に加工を行わなかった場合に起こりうるトラブルなどを紹介し、適切にフレア加工を行う方法を解説します。
フレア加工とは
フレアとは英語で「flare」と書き、ものをラッパのような形に広げるという意味があります。
フレアスカートのフレアと同じです。エアコン取り付けにおけるフレア加工とは、冷媒管の中にあり、冷媒を通す銅管の端、室外機や室内機に接続する部分をラッパ状に広げる(フレア)作業をいいます。
このフレア加工で広げた銅管の先を、室外機や室内機の接続部にある銅管にかぶせるようにはめ込み、上からナットで押しつぶすように包み込んで接続します。
またはジョイント器具の形に合わせてフレア加工してはめ込み、上からナットで締めこんできっちりと接続します。
銅はやわらかい金属なので、丁寧に作業すれば粘土のように形を加工することができます。
銅管にフレア加工を行えば、溶接や接着剤などを使わなくとも、隙間なく他の管などに接続することができます。
そのためエアコンの冷媒管のような、気体や液体漏れを起こさないよう、わずかな隙間があってもいけない管に使用されるのです。
エアコンの冷媒であるガスの漏れは、エアコンの機能低下や故障に直結します。
エアコン取り付けにおけるフレア加工の目的は、冷媒であるガスを逃さないよう、冷媒管と室外機、室内機を隙間なくきっちりと接続する点にあります。
フレア加工の方法
フレア加工にはいくつか道具が必要になります。
まず銅管の先を特定の大きさに加工するフレアツール、フレアリングツールと呼ばれるものです。
銅管をきれいに切断するためのパイプカッター、銅管のバリ(作業時に出た細かい尖りやザラザラなど)を取るためのリーマーや金属ヤスリも用意します。
切断面の保護や細かいクズを取るため、ビニールテープなどもあれば便利です。
手順は、まず接続する器具に合わせた大きさにフレア加工するようパイプの太さを確認します。
サイズを誤るとエアコン取り付けができなくなるので注意してください。
次にパイプカッターで銅管を切断します。後の作業に狂いが生じないよう、きちんと垂直に切断し、またパイプを歪ませないようゆっくりとパイプカッターを回します。
次にリーマー、ヤスリ等を使って切断時に生じたバリを取ります。
きれいに切断した銅管の先をフレアツールの該当するコーン(穴)に固定し、ハンドルをゆっくりと回して銅管をフレア状に広げます。
コーンにしっかり固定されていなかったり、ハンドルのまわし方が早かったりすると、ゆがみや傷、割れなどが生じるので注意してください。
完成したフレア状の部分が光沢のある真円状になっていれば成功です。
フレア加工の注意点
エアコン取り付け時のフレア加工は、わずかな歪みやバリ、傷、割れなどがあっても、そこからガスが抜ける原因になるので、精密に仕上げなければなりません。
銅管はやわらかいといっても金属です。
パイプカッターによる銅管の切断や、フレアツールでフレア状にする作業を急いで行うと、急激な変化や余計な力がかかることで仕上がりが狂うため、急がず丁寧に行ってください。
フレアツールには電動のものもありますが、微妙な調整が難しいため、自分で作業する場合は手動のものを使うほうがいいでしょう。
銅管の切断面が斜めになっていたり、円形に歪みがあったりしてもいけません。垂直で真円状に仕上げます。
切断面のバリだけでなく、バリ取りの際に出た細かい金属片が残っていると、やはり完成したフレアに傷や溝などが生じるので、丁寧なバリ取りとビニールテープなどでの掃除も重要です。
仕上がったフレアが接続する器具の形に対して、小さすぎても大きすぎてもいけません。
加工の際、銅管や接続する器具のサイズを確認し、該当する大きさのコーンにきちんと固定して、正確に加工します。
うまく仕上がらなかった場合は、失敗したフレア部分を切断して、完璧なフレア状になるようやり直してください。
まとめ
エアコン取り付けに際してのフレア作業は、手順そのものはさほど難しくありません。
機材さえそろえばDIYで行うことも可能です。
ただエアコン取り付け自体、そう頻繁に行う作業ではありません。そのために必要なフレアツールを購入し、作業の手間をかけることは、コストパフォーマンスが悪いといえます。
また作業そのものは簡単でも、フレア加工を完璧に仕上げるには一定の技術が必要になります。
フレア加工の狂いは、新しく取り付けたエアコンの電力効率の低下や故障など、重大なトラブルの原因になります。
フレア加工含むエアコン取り付けの作業は、プロの業者に任せたほうが、長い目で見ればお得といえるでしょう。
No.c-286
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